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03/20/2013
色々出てきそう
キプロス議会、預金課税案を否決(Yahoo!:朝日)。この「預金課税案」とは読んで字の通り「預金」に「課税」する法案であります。今回のは10万ユーロ超の預金には預金額の10%、それ未満には6.75%を税金として一回だけ徴収する、という法案なのですが・・・。
→キプロス金融支援の概要(Yahoo!:ロイター)
当たり前ですが預金者は猛反発。一種の取り付け騒動のように銀行から現金を引き出す客が多数・・・閉店後もATMには行列が。
なんでこんなことになったかと言うと。キプロスの過去と最近の国情に関係があります。
キプロスは地中海の最東部、トルコやシリアの沖合いに浮かぶ島国であります(南北二つの国に分かれている、ような事情もありますが日本は北キプロスを承認していない)。地理的や人種的にもギリシャに近く、南部はギリシャ系の人たちで構成されています。
鹿児島県ほどの小さな島国なのですが・・・EUに加盟しています。
それがあのギリシャの財政危機に引っ張られるような形でこっちも財政不安に陥ってしまった、という・・・。
キプロスは「タックスヘイブン」として前々から知られていました。・・・「租税回避地」という日本語があてられてますが、大体は税金が安いところという認識かと。法人税が安く、法規制も厳しくない。海外からの企業が「キプロス籍」となって資金を銀行に置いていく、という例が多いわけであります。EU内なら他の国への進出も比較的やりやすい、というのもあると思われます。
・・・キプロスの場合、ロシアからの預金者が多いそうで。で、こういう「お金がたまるところ」というのはどうしても不透明になりがちで。どうも各国からはあんまりいい目で見られてなかったような節さえあります。
しかし今回の財政不安。EUから融資を受ける、にしても・・・法人税を上げたりすればそれなりの額をキープできるはずなのに、よその国のあまり関係のない市民の税金をあてなければいけないってのは、どうなんだろう? という論議が起きたわけで。・・・じゃあ、全部の預金者巻き込んで一律税金を徴収してしまおう、そうすればEU内の反対意見もどうにかなるのでは・・・と。
・・・が、実際のところは否決。実は過去には「預金封鎖」と言ってさらに乱暴な(いきなり全預金がおろせなくなったり消えたりする)手もあったりしたのですが。あるいは北朝鮮のデノミとか。預金がらみの税収アップ方策というのはどうもいきなり観や無理やり感がぬぐえないものだったりします。そりゃあ、預金してる側からすれば信用して預けてるのにあれこれいじくられちゃたまったもんではありますまい。
今回の「騒動」でキプロスのなんだかもやもやした部分が少しは消えるんではないか、という声もありますが・・・別にキプロスに限った話ではなく。さらに他にも財政の危ない国はいっぱいあるわけで。こういう混乱はまだまだ続くのでは、と。日本も無関係ではいられないだろうなあ・・・。
06:30 AM | 固定リンク