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09/03/2012
ある事故
リチャード・バック氏の操縦する飛行機が墜落・重傷(CNN)。最初は「同姓同名か?」とか思ってたんですが間違い?なく「かもめのジョナサン」の作者であります。
→リチャード・バック(Wikipedia)
・・・大変失礼ながらまだご存命だったとは・・・お早い回復を願っております。
「かもめのジョナサン」とは1970年に出版された氏の小説で・・・小説、と言うべきだかどうなんだか・・・長編の詩、みたいにも思えますし。三分の一くらいがカモメの写真なので「写真集」というのはちょっと違いますか。あるいは「寓話」と分類されることもあります。
内容は↑記事やwikiにある通り。・・・カモメのジョナサン・リヴィングストンは「飛ぶ」という行為が単にエサをとるためだけではなく、「飛ぶ」ことそのものに価値があることを見出します。やがてジョナサンは群れからも離れ「飛ぶ」ことを極め・・・さらに高位の世界へと上っていきます・・・。
「悟った」とかそういう方が分かりやすいかも知れません。ジョナサンは飛ぶ、ということがどういうことか「悟って」しまった・・・とか。当時は流行りのキーワードではありました「サトル」、当時の旅行記なんか読むと、日本人だと分かると「お前はゼンを知ってるか」と必ず尋ねられた、とか。「ゼン」「サトリ」などはエキゾチックなキーワードでもあったわけです。
そして1970年代というのはいわゆるヒッピーと呼ばれる人たちが台頭?してきた時代でもあります(そして「かもめのジョナサン」はヒッピーを中心に広まっていった、という話もあります)。・・・まあ、いつの時代でもよくある人たちなんですが・・・既成概念を打ち壊そう、とか支配からの脱却、とか。しかしこの時代の「ヒッピー」というのは他の時代とはやや違って見えたりするような。一つには当時は今と違ってある意味おおらかだったからかも知れません。こういう人たちでもなんとかやって行ける時代。
後半に入るとジョナサンにはすでに「食べる」とかそういう描写がほとんどなくなります。欲求全てから解放されたような、そんな印象。そして弟子・・・フレッチャー・リンドという鼻っ柱の強い若いカモメ。宙返りとか派手な飛行を好んだりするのですが・・・岩に激突して死にかけた(正確には死んでる)時にジョナサンに助けてもらったりしてます。・・・いや、ありゃ助けた、というより引きもどした、と言うべきんでしょうか・・・?
最後にこのフレッチャーを残してジョナサンはさらに「高み」を目指して消えてしまいます。そしてフレッチャーが「先生」となって今度は後輩たちを導く。その時の一言。
・・・これに尽きるなあ、と。
リチャード・バックは「ONE」というやはり精神的?な小説も書いてます。が、やはり「ジョナサン」の方がとっつきやすいと言うか感情移入しやすい、と言うか。しかし新潮社から出てる五木寛之訳の日本語版、訳者後書きはなかなかふるってる?内容だったりします。たしかにみんながみんなジョナサンのようには生きられませんなあ・・・。
02:01 AM | 固定リンク