« 意味があるんだかないんだか | トップページ | 二つほど 3/27 »

03/26/2012

そういうのアリ?

絶滅の危機にあるユキヒョウの体細胞からiPS細胞の作製に成功(Yahoo!:読売)。iPS細胞とは「新型万能細胞」と記事中でも書かれてるように、様々な細胞へ分化できる可能性のある細胞であります。
…技術的にはかなり困難、というかかなりレベルの高いものが要求されますが。しかし結果としてはフツーに採取した細胞から組織などを作製することも可能になってます。
そのため↑記事ではユキヒョウの体細胞からiPS細胞が作製できた、ということはこれを生殖細胞作製に応用できれば(すでにマウス実験では精子作製に成功)絶滅に瀕しているこの種を救うことができるのではないか、という論調なのですが…。

いや、そういうのアリなのかな…とか疑問を持ってしまうわけです。
例えばよくこういうのの比較に使われる「クローン」ですが。現行の技術では毛一本から本人や動物を複製する、ということは可能になっていません。「体細胞クローン」というのはたしかに被験動物のフツーの細胞を使いますが、それを加工して受精卵、つまり母胎が必要となります。…と言うことはいずれにしても「親」が必要なわけで。数の減っている動物にこういうことをするのはあまり効率の良いこととは思えません。

しかし体細胞を生殖細胞にすることが可能ならば…例えば仮親を立ててもいいわけです。うまくいけば猫でも実施できるかも知れない。数を増やす、ということだけが目的ならばそういうこともできるのでしょうけども…なんかな、なんだかな、と。
絶滅に瀕している動植物を救う、というのはただ数を増やせばいい、というわけではありますまい。
過去にも少数民族ややはり絶滅に瀕している動物の「血液データ(遺伝子データ)」を集めているのではないか…という話はあっちこっちで出ていたりしました。それこそiPS細胞のような「万能細胞」がもっと使いやすくなればそういった方法によって数の減ったものを復活させよう、と、そういう狙いもあったんでは…と言われている方法ではあります。そういったあまりにも即物的な方法とあまりにも似通っているような。

「種」というのはヒトも含めて単独では成立し得ません。絶滅から守るには長い時間をかけて環境を整備し、きちんとアフターケアをして見守っていく必要があります。数さえ増えれば…とそんな簡単なものではない、と思うのですが。
それに体細胞からiPS細胞→生殖細胞ということは遺伝情報はかなり、いやほぼ同一の可能性が高いです。性質のかなり近しい個体が増えることにもなります。そうなると多様性はどうなるんでしょう…?
そういうとこまで突っ込んだ議論がなされているのかどうか。たしかに「増やす」方法としては最適かも知れませんが…それからどうするのか、その辺も慎重に考えていく必要もあると思いますが。

04:26 AM | 固定リンク

コメント