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03/20/2012

やはり奥が深い

アメリカ。「大都会」ニューヨーク市で新種のカエル見つかる(CNN:カエルの画像あり)。なんでもヤンキースタジアム付近に生息しているヒョウガエルの一種なんだそうで。このヒョウガエルは北米に広く分布するカエルではありますが…さすがに以前ほどには広く生息してはいないとのことで。それでもかなりの低温にも耐え、都会の水場にも集まってくるとか。
…画像を見る限りではトノサマガエルかダルマガエルっぽい印象でしょうか。後肢が発達してるので泳いだり跳ねたりが得意そうで、ヒキガエルやアマガエルのようにあまり泳がないタイプではないようであります。

カエルに限ったことではありませんが…こういう動物が都会で新たに発見される、というのは珍しいことではあります。…動物以外なら実は結構ありそうな気はしてるのですが。植物だと…自分もまだまだどの葉っぱがどの種のだ、と明言できるほどじゃあ、ありませんけども…その方面のスペシャリストでないと発見に繋がることは少ないかと思われます。そのため、日頃見慣れている風景の中に実は新種が…というケースもあるかも知れません。
…あるいはミクロの世界だともっとそういう「発見」は多いかも。顕微鏡下、とまでいかなくても世に知られていない生物というのはたくさんいるものですし。

しかし…この新発見のカエル(↑記事の全米科学財団のレスリー・リスラー氏の話からすると新種なのかどうかはまだ未定っぽいですが)が「隠蔽種(いんぺいしゅ)」だった、というのはちょっと驚きました。いや、「隠蔽種」というのを実は初めて知ったからであります。
「隠蔽種」とは外見や行動はほとんど見分けがつかないほど似ているのに、特定の要因によって交雑が起きることがない種…つまりそっくりなのに「種」として同じではない、もしくは近しくもない、ということになります。

↑のカエルでは「鳴き声」が上げられてます(それで発見されたようなものですが)。
いわゆる「かわず合戦」というやつでオスの鳴き声にひかれてメスが集まってきて交尾するのですが…鳴き声が違えばいくら似ていてもメスは同種しか集まって来ません。そのため交雑が起きる可能性がかなり低くなっているわけです。
似たような例ではやはり北米産のホタルとか。やはり姿形は非常に似ているのですが、オスの光り方が違うとか。これによってやはり交雑を防いでる、とか。
その他ホンシメジも実は生育条件に違いのあるものがあって、違うタイプ同士の胞子が共存することができない。…ホンシメジというのは安く出回っているブナシメジとは違って「味シメジ」の本当のシメジであります。近年まで人工栽培のできない、非常に高価な(場合によってはやはり人工栽培のできないマツタケよりも)キノコだったのですが、こういった研究によって人工栽培物がようやく出回るようになったキノコではあります。

こういうのを見てるとどうも完全にかっちり決まってるものの方が実は少ないんじゃないか…とか思ってしまったり。生き物は例外だらけ、というのは前々から知ってたつもりなんですが、いや、それじゃまだまだ甘い。

「輪状種(りんじょうしゅ)」というのも今回調べててやはり初めて知った分類なんですが。
円をぐるぐるっと二重に描いてみて…内側の円の中に「A」という種。
内側の円と外側の円の間に「B」という種。
外側の円の外に「C」という種がいるとして…。
「A×B」「B×C」という交雑は可能で間柄としては「同種」「亜種同士」となるのに…。
なぜか「A×C」という交雑はなかなか難しい、こっちは「同種ではない」「亜種でもない」という…なんだか矛盾?を含んだ種関係?になってます。「B」が特異点?になってると言うか。空間的に隔離されてると言うかなんと言うか。

いやあ、やはり奥が深いものでありますね…。

12:08 AM | 固定リンク

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