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02/08/2012

約60年ぶり

絶滅を危惧されていた「ブライアンズ・シアウォーター」小笠原諸島で再発見(Yahoo!:毎日)。なんで「再発見」か、と言うと…そもそも「発見」されたのが1963年。しかし1990年代に入ってからその姿が確認できなくなり…「絶滅か」と思われていました。が、今回再び「発見」されて絶滅していなかったことが確認された、ということであります。
同じような例にはアホウドリがあります。
種としてははるか古来から認識されていたのですが、その後の(1900年代に入ってからの)乱獲によってその数は激減。1949年に唯一の繁殖地とされていた鳥島での生存が確認できなくなり…絶滅した、と思われていました。が、2年後の1951年に「再発見」現在はもちろん保護もされていますが、他の島への繁殖地分割(おとりを使った誘導など)が実施され…成功例も出てきています。

ブライアンズ・シアウォーターの方は事情がさらにややこしい?ものではあります。
ブライアンズ・シアウォーター(Wikipedia)
絶滅したと思われていたミズナギドリの希少種を小笠原諸島で再発見―世界自然遺産に生き残っていた希少鳥類―(森林研究所:PDF)
そもそもはアメリカ・ミッドウェーで発見。しかしこの手の海鳥というのはシロウト目にはまず種の違いが分からず(アホウドリのように特徴満載なら話は別ですが)その後どういう風に生息しているか、どこら辺で繁殖しているか…などの情報がなかなか入らず。そのうち発見例が少なくなり…でも2011年にようやく?新種として認定されたにも関わらず絶滅したのではないか…とされてきました。
今回小笠原で見つかった、というのは一種のラッキーかも知れません。実はどこの島でもこういうことはあり得るる…のかも。

シアウォーター(shearwater)とはミズナギドリのことで…漢字で書くと「水薙鳥」で「水」を「薙ぐ」ように飛ぶ鳥なのでこう呼ばれた、とか。小さな体の割に大きくて長い翼が特徴的でもあります。日本では京都府の冠島にオオミズナギドリが多数生息していることが知られています。
大きな翼は飛翔に大きく関係していて風に乗る、つまり滑空のような状態で海の上を飛びやすくなっています。上手に乗れば体力の消費も少ない。そのためかなりの距離を飛行することもあり…その生態の解明をさらに困難にしています。
しかしあまりにも「海上を飛ぶ」ことに順応し過ぎてしまったため、陸上ではかなり運動性が悪くなっています。↑のオオミズナギドリだとまともに歩くことができず、胸を地面などにすり付けるようによちよち歩きます。これは足がかなり後ろに付いているためで…この方が飛ぶ時に空気抵抗が少なくて済む…これがさらに進むとペンギンのようになる、のかはちょっと分かりませんがまとも?に歩けるアホウドリ同様、羽毛を狙って乱獲が進んだ原因の一つでもありました。

本種の暫定和名「オガサワラヒメミズナギドリ」は「ヒメミズナギドリ」という小型のミズナギドリグループ?の一員?ということで。体の大きさは大型のオオミズナギドリの半分ほどしかありません。「ヒメ」と付く動物は基本的に小さいのが常だったりします。

…このままなんとか生息地や繁殖地保護、といきたいところなんですが。
小笠原諸島は世界遺産にも登録されて観光客が増えている場でもあります。それ自体は大変に歓迎すべきなんですが…なるべくそっとしておいてあげられないかなあ、と。この発見を商業的に利用しよう、とかそういうのはできればナシにして欲しいとこなんですが…しばらくは無理、なんですかね。

10:35 AM | 固定リンク

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