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12/20/2011

ついに提訴

作家の東野圭吾さん、漫画家の弘兼憲史さんらが代行業者を提訴(Yahoo!:読売)。9月に「質問状」を送ってからの提訴、ですが…今後の成り行きがどう変わっていくのか、注目したいところであります。

何度かこの「あれこれ」でも取り上げてますが。「自炊」というのは自分でゴハンを炊く、という意味ではもちろんなく。既存の本や雑誌を裁断(ノリ付けを上手にはがすのは非常に困難)してスキャンする行為ということになります(さらにそれをネット上にUPというところまで含める場合も)。…これの何がいけないか、と言うとかなり曖昧な線引きの上に成り立っているからであります。

実はこの「自炊」行為は(ネット上にUPはともかく)違法ではありません。
著作権法でも「私的な複製」が認められているからです。つまり個人で楽しむ範囲内なら他人が著作権を持っている創作物でも複製できる。…もしこれもダメ、ということになるとCDを楽曲ファイルに変換することはおろか、テープやMDに録音することも違法になってしまいます。…テレビ番組の録画も違法になりますし。別の意味でその手の業界は大ダメージを受けることになります。
…極端に言えば好きな本やマンガを他人に紹介しようとして「この新刊のここはいいよねえ」と一部を引用してメールした…ということすら違法になりかねません(著作権の切れている、もしくは放棄された作品なら別ですが)。

…なりかねない。そうです実はこの線引きが非常に曖昧で、どこまでが「私的な複製」「引用」でどこまでが違法なのか、その辺の解釈が人によってばらばらだったりするのです。
個人的にはソレやって対価として金もらったらダメだろ、とか思うのですが。じゃあ、ボランティアで「自炊」やって第三者にタダで引き渡して「お礼」ということで第三者からいくらかもらう、とかそういうケースは? そういうのはどうなんだ、違法になるのかならないのか。その辺、ホントに解釈が色々できてしまいます。
そして実際のとこはこれをすぱっと解決?できる何らかの策も出ていません。…どうしようもない、という話もあるにはありますが。今後電子書籍業界が活発化してくると、どうしてもリーダーで読みたいのにその本がない、じゃあ「自炊」して…というケースが増えてくることも予想されます。全ての活字がどこかで電子化されるまでこういう行為はなくなることはないでしょう。

この提訴で一つの方向性が出る…かも知れません。あるいは結局何も変わらないかも知れません。だから早いとこ業界なり政府関連なりの統一見解や議論の発端がほしいところなのですが。

12:50 PM | 固定リンク

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