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08/16/2011
輸出、ですか…
日本産のアニメや映画などの「海外展開」を促進する官民肝いりの新会社(Yahoo!:読売)。これに類した「日本のコンテンツを~」とかそういうのは過去にもいくつかありましたが。今回の会社は海外向け、つまり輸出中心、というのが新しいところか、と思われますが…なんかこういうのも前にあったような、いや違ったような? さてどうだったかいな、と。
こういうエンターテイメント関係の輸出、というのは実に様々なカタチがあります。
一番簡単なのは「そのまま」でしょうか。サーカス団とか現地の役者さんやスタッフそのままの舞台とか。マジックやイリュージョンなんてのもそういうのが簡単ではあります。…やはりコトバというのはかなり重要な要素であり…足かせにもなります。言葉のいらないエンターテイメントならそういうとこは問題ありません(細かいとこだと結構色々問題あったりしますが)。
でもやはり言語も輸出したい。
そういう場合は古来からある「翻訳」という手段があります。自国の言葉に変えてしまう。これなら知らない言葉で書いてあったり演じてあっても理解することはできます。ただ…他の言語へ変更する、というのは実はかなりリスクの多い行為だったりします。その国ならでは、あるいは言語ならではの「空気」というものがあって、それをほとんど破棄することになるからです。
例えば「ガリバー旅行記」とか「タイムマシン」とか。いずれも空想小説というカテゴリで日本では認識されていますが…実は作者はどちらも社会風刺とかそういう論調の作家だったりします。その時代におけるある意味では痛烈な風刺の書、という見方もできるのですが…これは書かれた言語そのままを理解できないと意味がありません(最も、書かれた時代が時代なんで現代とはやはり事情が異なっているらしいですが)。
逆に日本の俳句や川柳なんてのはなかなか海外では理解されないのではないでしょうか。
そこで最近よくある…というわけではありませんが「中身」だけを輸出する、という手段もあったりします。
「原作」ではなく「原案」という感じで。作品の中のメッセージ性や娯楽部分だけを抜き出す。あくまで「考え方」なので言語は関係ありません。あとは受け入れた国で「外側」を製作していきます。…もちろん、細かいニュアンスだとか表現だとかが変更されたりするので綿密な打ち合わせが必要になります。それどころか場合によっては著作権関係で訴訟…とかそういうことになる恐れもあったりしますし。
「インスパイア」「リスペクト」というのとはまたちょっと違っていますけども。これならどこのどんな国にでも売り込むことができるのでは…と、かなり前ですが某舞台演出・脚本家の人の本に書いてありました。
いわゆる「コンテンツの輸出」ということになりますか。たしかに有効な手段だとは思うのですが…うまく行くのかなあ、と不安を感じてしまったり。…いや、冒頭にも書きましたけど、こういうエンターテイメントの輸出、というのは前々からやはり官民一緒のプロジェクトとかそういうので出てきてるんですが。
なんだかどっかちぐはぐなような気がして。結果出す前につぶれたりそもそも計画段階でつぶれたり。実行されてもあまり注目されない、とか。日本人がこういうのに向いてないのか、それともそういうお役所体質引きずったままやるからいかんのだろうか…とかそんなことを思ってしまったもので。
04:56 PM | 固定リンク