07/18/2011
抗うクロマツ
サッカーでは「なでしこ」が初のW杯優勝、という快挙を成し遂げましたが…植物の「クロマツ」も頑張っております。
東北初の「抵抗性クロマツ」海岸防災林の救世主となるか(iza!)。クロマツというのは地肌の黒いマツのことで(地肌の赤いアカマツもあります)盆栽などにもなってますが、海岸防災林つまり塩害や飛んでくる砂を防いだりする目的で砂浜に植えられたりします。…「砂」に「松」というのは全国でよく見られる光景ですが、景観だけでああなっているわけではなかったりします。
しかし東北地方は大地震による津波で海岸も壊滅してしまいました。ちょっと前にニュースでもやっていたのですが…防災林として植えられていたマツが根こそぎ流されてしまい、それでも奇跡的に一本だけ残った…と。しかしこれでは防災林としての機能は果たせそうにありません。
さらにクロマツやアカマツなどには固有?の病気があります。…「松くい虫」と一般的には呼ばれているマツ材線虫病(Wikipedia)のことで、それまでは見た目は元気だったのに初夏から秋にかけて葉が茶色になって枯れてしまいます。しかもまとまって。マツの類は常緑樹なので変色してしまう…ということはかなりのダメージを受けていることになります。そうなってしまうともう手遅れなわけです。
この病気はマツノザイセンチュウという線虫が引き起こすものであり、マツノマダラカミキリという甲虫がその伝播を助けています。…盆栽ならまだしも、大量に植えられてあるマツを全てチェックするのは容易ではありません。枯れる前にこのカミキリムシがかじった跡を見つけることができればまた話が違ってくるそうなんですが…。
この病気、実は日本古来のものではなく北米から入って来たもの、とのことで。記録によれば1905年が一番最初に発症が確認されたそうであります。つまり、日本のマツにとっても近年になって出てきた新しい病気、ということになります。
…しかしマツの方も黙って?やられてるわけではなく。性質的に抵抗性をもったマツ、というのが実在してるわけです。それを探して接ぎ木して育てる。途方もなく手間のかかる地道な作業ですが…こういう方法しかないのも事実であります。
似たような事例としてはブドウのフィロキセラ虫害があるかも知れません。ヨーロッパのブドウはフィロキセラに耐性がないんですが、北米のブドウには耐性がある。そのため北米産のブドウにヨーロッパのブドウを接ぎ木して耐性を持たせることで、それまで壊滅的だったワインの情勢が復活した、という…まあ、最近はまた別の理由でヨーロッパワインは壊滅的ですが。
いずれにしてもクロマツも耐性のある株を使うことで松くい虫の被害が抑えられるかも知れない…というところまできているわけです。
これはちょっと、いやかなり期待しているのですが。かなり激しいのですよ、松くい虫の被害にあったマツ林というのは。↑の「マツ材線虫病」Wikipediaにもあるようにホント「白骨化」してしまって…見た目もかなり厳しいものがあるもので…これでどうにかなってくれるといいのですが。
04:56 PM | 固定リンク