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05/17/2011
あと一回
スペースシャトル・エンデバーの最後の打ち上げ成功(Yahoo!:毎日)。「エンデバー」はこれがラストフライトになります。天候不順などで何回も延期となってましたが、無事に打ち上げ成功。いや、無事に地上に還ってきて初めて「成功」と言った方がいいのかも。その時に「ラストフライト終了」ということになるわけであります。
あと一回。6月末の「アトランティス」でスペースシャトル・オービターは全てのミッションを終えて退役となります。
軌道上に行ったオービターは全部で5機。「コロンビア」「チャレンジャー」は事故に遭い、尊い人命も失いました。「ディスカバリー」はこの間ラストフライトを終え…「エンデバー」は今回がラスト。そして6月末に「アトランティス」が飛んでオービターはその30年近い(初フライトは「コロンビア」の1981年)歴史に幕を下ろすことになります。
「複数回利用できる機体を作ろう」というコンセプトはかなり前からあったとされています。むかーしむかしによくあった「みらいはこうなる!」的なものでも「飛行場から普通に離陸して宇宙へ」みたいなのはよくありましたし。宇宙開発初期段階からもっとも大きな問題の一つになっていた「コスト」を削減するためにも重要なことではありました。
ロケット一基打ち上げるだけでも莫大な費用がかかります。しかも打ち上げてもそのほとんどは廃棄。宇宙開発は基本見返りが期待できませんから(基礎実験なんかが主体のため)いわゆる「もとをとる」ことが難しい。国家が先頭に立って旗振ってくれないと大掛かりな実験やら開発やらは難しいのは今でも変わらなかったりします。
そこで繰り返し再利用できる機体でコストカットしよう、ということに。しかし…実際は「繰り返し使える」ということはメンテ費用が発生する、ということになります。これまでのように一回使ったら即廃棄、ということなら別に必要ないんですが。さらに「何度も」ということになると、機体には使い捨て機とは違って様々な面でバージョンアップが要求されることになります。一回使ったらあちこち壊れてしまいました…では意味がないわけです。
費用と、そして手間。惜しむわけにはいきませんが結局それらがのしかかってきてしまう。
さらに各国が軌道上開発を競って行なう時代でもなくなり…特にアメリカがあまり乗り気ではなくなってきてるような。予算も縮小されたみたいですし。そのため「繰り返し使っても結局手間とお金はかかる」オービターは退役、ということになりました。機体の老朽化というのもたしかにあるんですけれど…1980年代以前から飛んでるロシアのソユーズはまだ現役(機体全部がその頃と同じってわけじゃありませんが)なわけですし。やっぱり流れみたいなものは「使い捨て」になってしまってるのかも知れません。
ところで。自分はオービターが示した可能性は繰り返し再利用だけではなくもう一つあったと思ってます。それは…軌道上での「居住性の改善」です。
オービターには実は本職?以外の人も乗ったりしてます。そのほとんどはISSへ向かったのですが、従来のような基本「軌道上へ人間運ぶだけ」の宇宙船ではここまで一般人に近い人は乗せられなかったわけで。オービターならかなり自由な空間が確保できます。これはISSなどにもその技術がフィードバックされていると考えられ…今後の宇宙機開発にも大きな影響を与えるかと思われます。
そういう「歴史」も来月で終わり。また…新しい時代が始まるわけですが…繰り返し使える機体、というのはもう出て来ないんですかね。まあ、個人的感傷と言えばそれでおしまいなんですが。
01:23 AM | 固定リンク