« やめさせても | トップページ | 実質…切り捨て? »

01/03/2011

多い少ない

絶滅の危機に瀕している「ブルトン語」フランスは多様性に向き合えるか(Yahoo!:CNN)…「ブルトン語」というのはフランスは北西部ブルターニュ地方で話されている言語なのですが…話し手の高齢化もあって数が年々減っていっている、とのことであります。こういうのは世界的には「少数言語」とか「地方言語」と呼ばれる場合もあります。その国の主要ではない言語をそういう風に呼ぶこともあるのですが。
…なんで減ったのか、というのはそれはまた各国の事情がありますんで一概にこう、だからああすれば絶滅を防げる、というものではなかったりします。

ブルトン語の場合はやはり歴史が絡んできます。
現在のフランスの公用語であるフランス語は大まかに言えば「ラテン語系」に分類されます。これは兄弟?に英語だとかスペイン語だとかドイツ語だとかがある言語「ラテン語」がもとになった言葉で…「ラテン語系」でくくっちまうと世界のほとんどをカバーできるくらい現在は広まっている言葉であります。
しかしずっとラテン語系ばっかりだったわけではなく。ヨーロッパは過去にケルト系民族が大量にいた時代があり…その名残で「ケルト系」言語、というのも残っています。ブルトン語もそれに含まれることになります。つまりケルト系に支配されていた頃のヨーロッパの言語はみんな「ケルト系」だったんではないか…と。
ただ、最初はケルト系だったフランスですが後にラテン語化。ところがその後に再びケルト化することになり…そして再び再びラテン語化、という歴史をたどっていたりします。

これらは全て10世紀以前の話で…ブルゴーニュが正式?にフランス領となったのはフランス革命後の18世紀後半も大分過ぎてから。まだまだブルトン語は残っていたのですがほとんど禁止されたような状態になり…フランス語に淘汰されていってしまった、ということのようであります。

これがまた日本だと事情が違うわけで。ご存知のように日本の方言というのは相当数あるんですが、明治になって「標準語」ができあがるとコレ一色に全国塗りつぶされることになります。…いや、そこまで厳密なものじゃなかったんですが(一説によると軍役を実施する際、命令系統が混乱する可能性があったからコトバも統一した、名字も名乗らせた…とか)ほとんどの国民の「方言度」は均一化されることになりました。まあ…その方が良かった、という見方もあります。
江戸期も後半に入ると庶民もあちこちへ旅行に出かけるようになるんですが、それより前からずっと旅行していたのは武士でした。自分の地元と江戸を往復してたわけです。…しかし場合によっては言葉が通じない…何せ薩摩藩なんてのは藩の外から隠密が入ることのできないようにわざと難解な「薩摩言葉」を作り上げてた…とかそういう説もあるくらいですし。標準語化がかなり進んでいる今でも時々分からない言葉があったりするのに、もっと純度の高かった江戸期なんかはもっと分からなかったんじゃないのかな…と。

それでも方言は文化だ、という言い方もできます。その文化が薄まってしまったのは標準語ができたからだ、という見方もあるにはあったりします。

たしかに特定の言語がなくなるのはさびしい限りなんですが…使わないものを無理に使ってでも残す、というのも…なんだか若干意味が違ってしまうような、そんな気もするんですが。でも…やっぱり残せるものなら残していきたい、と思うのは人間のサガというやつなんでしょうか。

01:24 PM | 固定リンク