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01/05/2011

そんなもんじゃないですか

常にその業界の先端を走っていれば、やはり後ろ=後続に不安は出てくるもの、と思いますが…はたからその走ってる様を見ているだけの自分からすれば…「そんなもんじゃないですか?」と。
フジテレビ「ノイタミナ枠:フラクタル」にかけるヤマカンの思い(iza!)。山本寛(ゆたか)氏、通称「ヤマカン」と言えばアニメ製作に関してファンで知らぬ者は…って、作品そのものを楽しむから製作サイドは全然知らない、てな人も結構いますから、そういう人たちにとっては「?」な人かも知れません。けどまあ、数々の良作を生み出している人の一人、と捉えて頂ければ幸いであります。
今月から放送が始まりますアニメ「フラクタル」…自分はとりあえず一話観てからかな、というところだったりします。ヤマカンがどう、というのではなくまずは一話は観てみてから…それからあれこれ悩もうかな、というのが最近のアニメの見方だったりします。一話だけ観て切ってしまって(うちは地デジ化してますけど、チューナー経由なんでチャンネル数がほとんど増えてなく、全部を観るのは不可能)後で後悔した…という作品も山ほどありますけど逆もまたしかり。前評判がいいからと無理して観てたけど最終話辺りで限界、てのもありますし。まあ、選べるてのはある意味ぜいたくな悩みなんではあります。…地方によっては全然アニメが映らないところもありますし。

さて。↑記事で気になったのは『美少女が出てくる“萌(も)えアニメ”が人気だといっても、「萌えに萌えないと仲間はずれになる」と感じた人たちによる、周囲の評判に引っ張られての人気に過ぎないように見えた』(『』内元記事より引用)というくだりで。…日本人なんてそんなもんじゃないですか、と。今さらですか、と。むしろ…そういうとこを考えて作品を作っていたんじゃないんですか…と。
これだけがヤマカンの言いたかったこと全部、というわけではないのでしょうけど。

エンターテイメントなんて結局は「繰り返し」なんじゃないのかなあ、と自分は思ってます。何でもいいんですがとても感動した作品があったとして。次は何をするかと言えばまたあの感動を味わいたくて似たような作品を求める。その「次」が「前」を追い越していればいいんですが、足元にも及ばなかった場合、人はこう言います。「なんだあの駄作は」もちろん「次」は「次」で決して悪い作品ではない…としても。そしてまた別の「次」を探し始めるのです…。
…そんなことを繰り返していくと「目」が備わってきます。自分に合うモノを見分けられる「目」が。そして無数の作品に触れることでその「目」はどんどん肥えていきます。「鼻」も同時に効くようになってきたりして。つまり…「何が自分に合うか?」をより的確に見分けられるようになってくるんですが…その分、選択肢がぎゅうっと狭まってしまうことになります。そして当たり前ですがそんな簡単に100%ビンゴな作品に巡り会うことはできません。
そうなると今度はこう言います。「最近の○○はレベルが落ちたなあ」…レベルが上がってしまったのはあんた自身です。しかしそのことには気づかず観始めの頃の自分と同じ「目」「鼻」をまだ持ってる、と思ってしまう。そのギャップに違和感を覚えながらもやっぱり「次」を探してさまようことになる…。
…決して悪いことじゃない、と思うのですがね。自分にとってより高いレベルのモノを求めていけるのですから。ただし、そうなると普通のモノでは到底満足できなくなってしまって「ああ、○○はもうダメだ」とか思ってしまってその世界から去ってしまうケースも多々。そうなると逆にもったいないことではあります。

アニメの衰退、と言いますが観てる側からすりゃ昨今の状況は活況であります。たしかに長編は減りましたが(一年以上=4クール以上の作品て減りましたねえ…)1クールの短編でも十分に楽しめるものは多いと自分は思ってます。何よりタイトル数が増えたのが単純に嬉しいのですが。販売戦略とかそういうのが絡んではいるんでしょうけど、作品発表の場が増える、というのはそれはそれで嬉しいことなのではないか、と。
もちろん後継者とか現場の苦悩、というのもあります。でも経過はどうあれ今現在様々なジャンルのものが同居できる過去にないほどの「多様性」を手に入れているんです。そう悲観することではありますまい。…ただ、多様性の獲得の次はほぼ確実にそれらが収束していきます。つまり「淘汰」が起きます。

そうなる前に後継者を育てて業界を成熟させる…というのは…アニメに限ったことではないのかも知れません。ただ。日本のエンターテイメント業界で「成熟」してるのって…あるんでしょうか。ま、ここら辺アマノジャクですけど…無為に成熟するくらいなら無秩序に未熟な方が面白いもんなのかも知れませんけど。

12:21 AM | 固定リンク