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11/10/2010
ムズカシイ
「カラス天狗のミイラ」実は鳥(トンビ?)の骨と粘土(Yahoo!:読売:画像あり)。これは和歌山県御坊市の「生身迦樓羅王尊像(しょうじんかるらおうそんぞう)」をCTスキャンで調べたところ、中はトンビと見られる鳥の骨と粘土を組み合わせて作ったものだった…ということであります。像自体が仏像のように木を彫ったりしたものではなく…見た目からしてカラス天狗のミイラをまつったもの、とされてきていたものではありました。
↑記事によれば「夢がなくなる」ということで公表を差し控えてきていた、とのことで…たしかにその辺の判断が難しいところではあります。
実際、江戸期にはこういう、言ってしまえば「ニセモノ」が結構あちこちにあった、という説もあります。サルと魚で「カッパのミイラ」とか。とある高名な学者が日本近海に生息する動物をまとめた本の中に「人魚」があった、とか(しかも西洋風のマーメイドではなくて、ホントの人魚)。もちろんこういうのは現代から見ればただの笑い話みたいになってしまうのですが…自分は江戸期になってくると日本人の生活に余裕が出てきたから、こういうのが増えたんじゃないのかな、と思っております。
…それ以前にだってこういうのがなかったわけではないのですが…。
遊び心というのはちと不遜かも知れません。でも実際にはこういう風になっているんじゃないか、もっとホンモノっぽく作ろう…という職人の心意気のようなものがあるモノばかりであります。これがもし、生活に追われて通り一辺倒なモノしか作れないような状況だったらここまで見事なモノはできますまい。
そもそも太古の洞窟に見事な動物の絵が…というのだって余暇ができたから、という見方もできます。ああいうのはぱぱっと描いてしまえるもんではありません。それなりに時間をじっくりかけてやっと完成できます。…もしかしたら作成者は皆から怠け者扱いされてたのかも知れんのですが。でもそういう時間ができて初めてこういう優れたモノが作れる…。
…まあ、人間、どーでもいい時間ができるとろくなこと考えないもんなんですが。そういうのと一緒にしてしまうのは、やや、気が引けるのですが…。
像の名に「迦樓羅(かるら)」があることから仏教系(天竜八部衆に迦樓羅王あり…元々はインドのガルーダ:ヴィシュヌ神の乗り物)とも考えられますが、現地のことや「カラス天狗」ということからすると仏教は仏教でも密教…修験道としての信仰の対象であった、と考えられます。
どんな由来であっても(他人の迷惑にならない限りは)信仰の対象となってるモノはそっとしておきたいな、と個人的には思ってます。いや、そりゃ、実際はどんなもんなんだろ、という好奇心?があるにはあるんですが…よそ者に踏み込んで欲しくない領域、というのはどこにでもあるわけで。そういうとこから公開を控えていた県の判断には賛成でありました。
…でもこういう素晴らしい技もあったんだ、ということを公開するのは大事なことでもある、とも思うので…現地からの十分な了承が得られているのなら逆に公開してよかったのかな、と…この辺がムズカシイところだったりします。
02:15 AM | 固定リンク