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07/16/2009
祝 受賞!
第141回芥川賞・直木賞が決定しました。…芥川賞は磯崎憲一郎氏の「終の住処」、そして直木賞は北村薫氏の「鷺と雪」となりました(iza!)。ううむ、ついに来ました北村薫氏の直木賞受賞…! 本当におめでとうございます。
普段はあんまり芥川賞とか直木賞とか、そっち関係(純文学とか大衆文学とか言われても、よー分からんのです、自分)には触れないんですが。今回は受賞された方がされた方なんで、どうしても注目してしまってます。
一番最初に触れた北村作品は…「空飛ぶ馬」の文庫本でした。主人公は女子大生のミステリ物で、いわゆる日常の謎を解いていく短編集。シャーロック・ホームズを範とするなら女子大生の「私」はワトソン役、ホームズ役は落語家の春桜亭円紫となります。
…こう記してみると、なんか、どこかにありそうなお話なんですが…。
一人称で書かれてあるこの小説、自分、「北村薫」という作者名(当初は覆面作家だったそうな)からてっきり女性が書いてるもん、と思い込んでました。緻密で純粋な表現に若い女性っぽい語り口。しかし…実は男性だった、てのを知った時はそりゃ驚いたもんであります。
自分の本サイト「信天庵」にはいくつか一人称の作品がありますが…根源の一つはこの「空飛ぶ馬」だったりします。「520円」なんかはモロ北村薫氏の影響受けまくって書いた作品になります。もちろん一人称ですし殺人事件のようなショッキングな事件も起きない、日常のちょっとした謎を解いていく…というのも影響受けまくりなわけです。
ミステリである以上「謎」はどうしても出てくるわけで、その謎解きの鮮やかさも素晴らしいのですが…氏の作品で個人的に感嘆しているのはその色遣いだったりします。文字という「無色」な存在から「色」をひねり出す。文章を創る心に制限なんかない、という考えの一つの表れだと思ってるのですが…なかなか思うように自由自在には表現しきれません。が、北村作品の中にはきちんと「色」が存在しているのです。綺麗で的確、そして無駄のない表現による彩色。…そういうとこもオノレのモノにしたい、と悪あがきしたりしているんですが…どうにもならんものというのはやはりあるものであります。
一時期新作が出ない時期があって、ちょっと心配してたんですが…杞憂に終わって何よりであります。これからも自分も含めた読者のみんなが楽しめる創作をなされるよう、期待しております…。
02:38 PM | 固定リンク
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