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06/15/2008
緊急速報の意味
昨日、東北地方を襲った岩手・宮城内陸地震。
地域によっては気象庁の緊急地震速報が出て注意を促したりもできたのですが…震源地付近では間に合わない結果となってしまいました(Yahoo!:毎日)。今回の地震は震源が10キロと浅かったことに原因があるのですが…「それでは意味がない」という声が出てきてるのも事実ではあります。
この「緊急地震速報」は、本格的な揺れの前に警告を出すことができるシステムです。…が、予知ができるシステムではありません。ほんの数秒から10秒程度ではあるのですが事前に通知ができる、というものではあります。
地震の完全な予知、というのは現段階では実現できてません。この速報も「最初に小さな揺れが来て、それから大きな揺れが来る」という大きな地震の特徴を捉えているだけ、という言い方もできます。
地震の揺れとは地中を伝わる「波」のことで、基本的にP波(初期微動:Primary wave)とS波(主要動:Secondary wave)に分かれています。そしてS波の方が威力が高い。この「速報」はP波を検知してS波に対して警戒を促そう…というのがコンセプトになってます。
→地震波(Wikipedia)
P波とS波は地中を伝わる速度が違う、という特性があります。
今回の地震にしても自分は関東地方に住んでいますが、最初は小さな揺れが来て…それが収まると今度は強い揺れが、というように変化していました(最もこれは地域の地盤であるとかその他の要因によっても大分違ってくるとのことですので…簡単には言い切れないものもあります)。その最初のP波の後に「速報」が来ればたしかに注意することはできます。
しかし。P波とS波というのは本来地震発生と同時にこれらも発生するもので、ただ性質の違いから「時間差」が出てるに過ぎません。…震源地、あるいは震源が浅かったりとか、近かったりとか…では同時に二つの波を感じることになってしまうわけで…そうなると「P波を感知してS波に備える」という「速報」ではあまり意味がないことになってしまいます…。
それでも全然役に立ってない、とかそういうことではないわけで。世界に誇れる非常に優れた技術だとは思うのですが…なんか報道されてる限りだと「役立たず」みたいな印象ばかりのようで。…たしかに過去には誤報もあったりしましたし。
…まだまだこうやって用法を重ねて行けばもっと技術として優秀になって行くんでは、と期待しているところではあります。
05:16 PM | 固定リンク
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