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05/30/2008

ナゾの甲殻類

謎のプランクトン…1899年に発見されて以来、成体の確認ができていなかった「Y幼生」の人工変態に成功(Yahoo!:産経)。その幼体は「Y」からとって「イプシゴン(ypsigon)」と命名されました。これは「Y」をギリシャ語で表すと「イプシロン」になることから、だそうではあります。
正直なとこ…一体何がどんな話になってるんだかよく分からんかと思います。…自分も甲殻類の専門家ってわけでもないんですけども、調べてみると色々と面白いことが出てきたりするもんではあります…。

ノープリウス(Nauplius)・キプリス(Cyplis)
これらは一体何か、と言えば甲殻類(簡単に言えばカラを持った基本水棲の動物たち)の子供のことであります。なんで子供に複数の名前がついてるか、と言うと…カタチや性質が違っているからで。
ノープリウス幼生と言えば甲殻類では最も基本的な幼生…と言うか甲殻類は最初はみんなノープリウス幼生になります。で、そこからさらに色んな「幼生」へと変態を繰り返してやがて成体となる、というのが甲殻類の簡単な生活史ではあります。なお、ほとんどの幼生がプランクトン…つまりは水の中を浮遊していて、ミリ単位やそれ以下のごくごく小さい生き物ではあります。
例えばカニやエビなんかも甲殻類。もちろんノープリウス幼生もあるんですが…その後にも多数の幼生期を経て成体となります。
カニ:ノープリウス→ゾエア→メガロパ→
エビ:ノープリウス→ゾエア→ミシス→
…エビはミシスの後が種によってまちまち(イセエビなんかゾエアにならずにフィロソーマという別の幼生になりますし)だったりするので、まあ、これは一般的に共通っぽい幼生たち、ということになりますか。しかも…どの段階でタマゴから生まれてくるかもその種次第。極端な例だとサワガニはタマゴから成体とほぼ同じカタチの子ガニが生まれてきます。これはそういう幼生期を全部タマゴの中で済ませてしまうからではあります。
さらに同じ幼生の時でも何回か脱皮する種もいたりして。表記によってはミシス→ミシス→ミシスとかそういう方が正しい?場合があったりするようで。こういうとこ、「節足動物」という非常に大きなくくりだと一緒になる昆虫と似たようなところがあります。
↑の「Y幼生」の場合ノープリウス幼生からキプリス幼生へと変態することが確認されています(フジツボと同じタイプ)。で、今回は人工的にキプリス幼生から変態させた…ということが話題になっているわけです。ただ、この新しいカタチも成体ではなく幼体らしいのですが…。

うまくいけば百年来の難題?に回答が出るのかも知れませんが。
「成体が確認されていない」幼生の成体を確認するのに最も適した方法は、と言うと…飼ってみることになります。特にこういう小さな生き物の場合そうしないとドコ行ったか分からなくなったりしますし。が…百年経っても結果が出てないってことは何か特殊な条件が必要なんでしょうか…?
変態した幼体は「バーミゴン」という幼体に似ている、とのこと。
これはフクロムシという甲殻類がやはりノープリウス幼生→キプリス幼生と変態を繰り返してなる幼体で、コレがカニの体内に侵入してやがて成体になります。…フクロムシてのはカニに寄生する甲殻類なんです。てことはイプシゴンもやはり寄生するタイプなのか…。
その辺も含めてまだまだ分かってません。まあ、自然界なんてのは分かってないことの方が多いもんではあるんですが。

02:02 PM | 固定リンク

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