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12/31/2007
手法と媒体
漫画をノベライズ、つまり小説化したものが市場を席巻中(iza!)…記事中では小学校の読書の時間で読まれるケースもあるとか。「これで活字離れを少しでも減らせれば」てのは、まあ、気持ち的に分からんでもないんですが…ううむ。
ゲームやアニメや映画の活字化、というのは結構昔からあるものなんですが…いかんせん「二番煎じ」的なイメージも強いわけで。アニメ観て大変に感動したヒトが、じゃあ、小説化されたのも買ってみるか…と読んでみたらがっかり、というのはよく聞く話ではあります。
個人的に言ってしまうと、活字化する意味が分かりません。
アニメ・ゲーム・マンガ・小説・映画・音楽その他…とそれぞれに共通しているのは一つだけ。「何かを伝えたい」だけです。その手法がそれぞれの場合で異なるだけで、やろうとしていることは全部同じです。
…じゃあ、その「伝えたいこと」だけぎゅっとつかみ出して小説化したらいいんじゃねえの?
と言われそうですが…それぞれにはそれぞれの長所・短所てもんがあります。…その辺の事情から非常に難しいと思ってるんですが…。
マンガの売りは何か、と言えばそれは「即物性」です。パッと見てパッと理解できる。絵だけでは伝わりきれないところも文字がつくことによって理解しやすくなる。だから少々難解な物語でも分かりやすく伝えることができます。もちろん作り手の技能とか経験とかそういうのも絡んできますけど、活字よりも比較的容易に伝えることができます。人間てのは視覚中心の生き物ですから。
活字媒体の売りは「想像力」です。文字てのは単純な情報の羅列に過ぎませんから、それを理解できるように組み立てる必要があります。…誰が組み立てるか、と言えばそれは読者なわけです。作り手と受け手がシンクロすることによって新しいモノが出来上がる。
…だから文字媒体てのは結構面白い?もんで作者が意図していなかった方向へ内容が変化したりもします。作中のキャラの設定を読者の脳内である程度いじることができますから、作者が考えていたのとは全然違う人物像が受け手側では出来上がっている…と、そういう可能性もあるわけです。と言うより、それが正統な活字の楽しみ方なんではないかと思っております。
…ある程度固定されたイメージを伝えたいならマンガの方が有利。でも固定されてないイメージなら活字の方が有利。てことは…まあ、この辺個人的な私見なんですが
「小説→マンガはアリでもマンガ→小説は、ちょっと…」
ばらけてるモノを固定する分には受け手は受け入れやすい…と言うより解釈の一つとして受け取ることができます。が、固定されてたモノをばらしてしまうと元の「固定されてたモノ」に慣れてる人は組み直すのに一苦労してしまう…。
そんなとこではないかと思うのですが。全部が全部その通り、というわけではないです。例外だってもちろんたくさんあります。簡単にくくれるもんじゃないんですが…まあ、一つの考え方と思ってください。
それでも…別に活字離れしたっていいじゃないか、読みたくなったら読むさ、と思ってるんですが。マンガで大きくなってもそれはそれでいいじゃねえか、そのマンガが「良いモノ」ならば、と。創作物に良いも悪いもないんですが、その人にとっての「良いモノ」てのは一つや二つ、必ずあるもんです。忘れられない名作や人生に大きな影響を与える一作とか。
それを無理に活字媒体に限定したい、というのが…どうも。どれもやろうとしてるこた、同じなんですからどれでもいいじゃねえか、と思ってしまう次第ではあります。
12:51 PM | 固定リンク
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